離乳食を始める時期はいつがベスト?赤ちゃんのサインと進め方

離乳食を始める時期はいつがベスト?赤ちゃんのサインと進め方

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赤ちゃんの離乳食はいつから始めればよいのでしょうか。生後5〜6か月が目安とされていますが、月齢だけでなく赤ちゃんが出す「準備ができたサイン」を見極めることが大切です。この記事では、離乳食開始の適切な時期や月齢別の進め方、注意点まで詳しく解説します。
神谷 仁
神谷 仁かみや母と子のクリニックかみや母と子のクリニック院長/沖縄県産婦人科医会副会長1985年5月に琉球大学産婦人科に入局し、昨年6月に分娩取り扱いを終了するまで2万人以上の分娩に立ち会ってきました。生理、出産、育児、更年期等の悩みなど女性の幅広い年齢層に対応できるクリニックの院長として地域医療に取り組んでおります。プロフィール詳細を見る

離乳食を始める適切な時期と開始のサイン

赤ちゃんの離乳食をいつから始めるか、多くのお母さん・お父さんが悩まれるポイントですね。一般的には生後5〜6か月頃が目安とされていますが、この月齢はあくまで目安です。最も大切なのは、赤ちゃん一人ひとりの発達状況を見極めることといえます。

生後5〜6か月が基本的な開始時期

厚生労働省が公表している「授乳・離乳の支援ガイド」では、離乳食の開始時期を「生後5〜6か月頃が適当」と推奨しています。この時期が推奨される理由には、医学的な根拠があります。

生後5〜6か月頃になると、赤ちゃんの消化機能が徐々に発達し、母乳やミルク以外の食べ物を受け入れる準備が整ってきます。また、この時期から母乳やミルクだけでは不足しがちな鉄分などの栄養素を補給する必要が出てくるため、離乳食で補うことが推奨されているのです。

さらに、食べ物を口の中で移動させたり飲み込んだりする「咀嚼や嚥下」の練習を始めるのに適したタイミングでもあります。ただし、赤ちゃんの成長には個人差がありますので、「生後○か月になったから必ず始めなければ」と焦る必要はありません。

赤ちゃんが出す5つの準備OKサイン

月齢という数字だけでなく、赤ちゃんが見せる具体的な発達や行動の変化を捉えることが重要です。以下のサインが見られたら、離乳食を始める準備が整った証拠といえるでしょう。

【チェックリスト】離乳食開始のサイン

  • 首がしっかり座っている
    食べ物を安全に飲み込むためには、頭を安定させ良い姿勢を保つことが必要不可欠です。首が座っていないと誤嚥のリスクが高まります。
  • 支えてあげると座れる
    安定した体勢で食事をすることは、誤嚥のリスクを減らし、赤ちゃんが食べ物に集中するために重要です。
  • 大人の食事に興味を示す
    大人が食事をしている様子をじっと見つめたり、口をモグモグと動かしたりする様子は、食べ物への関心が高まっている証拠です。
  • よだれが増えてくる
    よだれの量が増えることは、消化液の分泌が活発になり、食べ物を受け入れる準備が整ってきたサインです。
  • スプーンを嫌がらなくなる
    舌で食べ物を押し出す哺乳反射が減ってくると、スプーンから食べ物を受け入れられるようになります。

これらのサインは、赤ちゃんが離乳食を始める準備ができたことを示す重要な目安です。一つひとつ確認しながら、焦らず赤ちゃんのペースに合わせて進めてみましょう。少しでも不安があれば、小児科や乳幼児健診でご相談いただくことをおすすめします。

参考文献
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04250.html

月齢別・離乳食の進め方とポイント

離乳食は、赤ちゃんの成長段階に合わせて4つのステップで進めていきます。それぞれの時期に合わせた食事の回数や固さ、量の目安を詳しく見ていきましょう。

初期(5〜6か月)ゴックン期

離乳食初期は「ゴックン期」と呼ばれ、赤ちゃんが母乳やミルク以外の食べ物に初めて触れる大切な期間です。この時期の主な目的は、新しい味や舌触りに慣れること、そして食べ物を「飲み込む」練習をすることです。

食事の回数と量

  • 1日1回、午前中にスタート
  • 10倍がゆを小さじ1杯から
  • 2〜3週目から野菜ペーストを追加
  • 3〜4週目から豆腐や白身魚を少量ずつ

食材の固さの目安

なめらかなポタージュ状が基本です。ヨーグルトくらいの固さをイメージするとよいでしょう。スプーンで口に入れた時に、すっと飲み込めるくらいの柔らかさが理想的です。

この時期は赤ちゃんが食べ物に興味を持つことが何より大切です。無理強いせず、機嫌の良い時を選んで楽しく進めてみましょう。

中期(7〜8か月)モグモグ期

生後7〜8か月頃は「モグモグ期」と呼ばれ、舌と上あごを使って食べ物をつぶす練習を始める時期です。

食事の回数と量

  • 1日2回食へ移行
  • 全がゆ50〜80g
  • 野菜・果物20〜30g
  • たんぱく質(魚・肉10〜15g、豆腐30〜40g)

食材の固さの目安

豆腐くらいの固さが目安です。舌でつぶせる程度の柔らかさで、2〜3mm角程度の小さなみじん切りにします。初期のなめらかなペースト状から、少し形が残る状態にすることで、赤ちゃんが口の中でモグモグと動かす練習を促します。

この時期になると食べられる食材の種類も格段に増えるため、様々な味や舌触りを経験させてあげることができます。

後期(9〜11か月)カミカミ期

生後9〜11か月頃は「カミカミ期」と呼ばれ、歯ぐきで食べ物をしっかりつぶして食べる練習をする時期です。

食事の回数と量

  • 1日3回食が基本
  • 軟飯80〜90g
  • 野菜・果物30〜40g
  • たんぱく質(魚・肉15g、豆腐45g)
  • 必要に応じて1〜2回の補食(おやつ)

手づかみ食べを始める時期

この時期には「手づかみ食べ」が始まることもあります。これは目と手と口を協調させる大切な発達段階です。柔らかく茹でた野菜スティックや、耳を取り除いた食パンを細長く切ったものなど、赤ちゃんが掴みやすいメニューを取り入れてみましょう。

完了期(12〜18か月)パクパク期

生後12〜18か月頃は「パクパク期」と呼ばれ、幼児食へスムーズに移行していくことを目指す時期です。

食事の回数と量

  • 1日3回の食事+1〜2回の補食
  • 軟飯またはご飯80g程度
  • 野菜・果物40〜50g
  • たんぱく質(魚・肉15〜20g、豆腐50〜55g)

幼児食への移行ポイント

食材の固さは「歯ぐきで噛めるバナナくらい」が目安です。大人の食事からの取り分けも可能になりますが、味付けは引き続き薄味を基本としましょう。スプーンやフォークを使った自分で食べる練習も積極的に促してあげることが大切です。

参考文献
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04250.html

離乳食を安全に進めるための注意点

離乳食を進める上で、赤ちゃんの健康と安全を守るために知っておきたい重要なポイントを解説します。

食物アレルギーへの対応

食物アレルギーは、保護者の方が最も心配される点の一つではないでしょうか。安全に離乳食を進めるためには、いくつかの大切なルールがあります。

基本の進め方

  • 初めての食材は「1日1種類、1さじから」が鉄則
  • 必ず平日の午前中に試す(医療機関が開いている時間帯)
  • 食後2時間は赤ちゃんの様子を注意深く観察
  • 慣れてから次の新しい食材へ

特に注意が必要な食材

厚生労働省では、特定原材料として卵・乳・小麦・えび・かに・そば・落花生の7品目を定めています。これらのアレルギーを引き起こしやすい食材は特に慎重に進める必要があります。

例えば、卵を始める際は「固ゆで卵の黄身」を耳かき1杯程度から試すのが一般的です。様子を見ながら少しずつ量を増やし、白身はさらに遅れて少量から試すようにしましょう。

こんな症状が出たら

発疹、じんましん、嘔吐、下痢、咳、呼吸が苦しそうなどの症状が見られた場合は、すぐに離乳食を中断し、医療機関を受診してください。

与えてはいけない食材

赤ちゃんの健康を守るために、1歳未満には絶対に与えてはいけない食材があります。

1歳まで厳禁の食材

  • はちみつ:乳児ボツリヌス症の原因となる可能性があります
  • ナッツ類:誤嚥や窒息のリスクが高く、アレルギーの原因にもなりやすい
  • 生の魚や卵:食中毒のリスクがあるため、必ず十分に加熱する
  • カフェイン含有飲料:コーヒー、紅茶、緑茶などは神経系に影響を与える可能性
  • 塩分・糖分の多い加工食品:ハム、ソーセージ、インスタント食品などは腎臓に負担

離乳食は薄味を基本とし、素材本来の味を大切にすることが、赤ちゃんの健康な成長につながります。

衛生管理のポイント

赤ちゃんは大人に比べて抵抗力が弱いため、衛生管理は非常に重要です。

調理前の準備

  • 石鹸で手をしっかり洗う
  • 調理器具は熱湯消毒やベビー用消毒液で消毒
  • まな板・包丁は用途別に使い分ける

食材の取り扱い

  • 鮮度の良いものを選ぶ
  • 購入後はすぐに冷蔵・冷凍保存
  • 中心部までしっかり加熱(特に肉・魚・卵)

作り置きの保存方法

  • 調理後は速やかに粗熱を取る
  • 清潔な密閉容器やフリーザーバッグで冷凍
  • 冷凍保存は1週間を目安に使い切る
  • 解凍は電子レンジで中心部まで十分に加熱
  • 一度解凍したものは再冷凍しない
  • 食べ残しは必ず廃棄する

これらの衛生管理を徹底することで、赤ちゃんを食中毒から守り、安全でおいしい離乳食を提供できます。

参考文献
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04250.html

離乳食で困ったときの対処法

離乳食を進める中で、多くの保護者の方が直面する悩みと、その対処法について解説します。

食べてくれないとき

赤ちゃんがなかなか離乳食を食べてくれない、口に入れてもすぐに吐き出してしまう、といった悩みは多くの方が経験されます。まずは「無理強いはしない」という大原則を心に留めておきましょう。

よくある原因

  • お腹が空いていない
  • 眠かったり体調が悪い
  • 食材の固さや舌触りが苦手
  • 味が好みではない
  • その日の気分

試してみたい対処法

  • 時間帯を変えてみる:お昼寝後や授乳前など、機嫌の良い時間帯を狙ってみましょう
  • 食材や調理法を変える:よりなめらかにしたり、小さく刻んだり、出汁の風味を効かせてみる
  • 少し期間を空ける:数日〜1週間程度お休みして、赤ちゃんの気持ちをリフレッシュさせる
  • 保護者が美味しそうに食べる姿を見せる:「美味しいね」と笑顔で食事をする姿が効果的
  • 手づかみ食べを促す:自分で食べる楽しさを知ることで食への意欲が増すことも

離乳食は、赤ちゃんが様々な味や食感を学び、食べる楽しさを知る大切な過程です。成長には個人差があり、食欲にも波があるのは自然なことです。「今日食べなくても、明日また食べられる」という気持ちで、焦らず赤ちゃんのペースに合わせて進めていくことが大切です。

母乳・ミルクとのバランス

離乳食を始めたからといって、すぐに母乳やミルクを止めるわけではありません。離乳食の段階ごとに適切なバランスをとることが重要です。

段階別のバランス

  • 初期(5〜6か月):離乳食は「食べる練習」の位置づけ。栄養の主体は引き続き母乳・ミルク。離乳食後に欲しがるだけ授乳
  • 中期(7〜8か月):1日2回食。食事から摂る栄養の割合が増えるが、母乳・ミルクも大切な栄養源
  • 後期(9〜11か月):1日3回食。食事から摂る栄養が重要になり、授乳回数が自然と減ってくることも
  • 完了期(12〜18か月):栄養のほとんどを食事でまかなえるように。卒乳・断乳を意識していく時期

赤ちゃんの成長に合わせて徐々に栄養源が移行していく自然な過程です。無理に授乳量を減らしたりせず、赤ちゃんが欲しがる時に与えるという基本方針を大切にしてください。

母乳・ミルクのバランスについて不安がある場合は、乳幼児健診や小児科でご相談いただくことをおすすめします。

離乳食作りに必要な準備と便利グッズ

離乳食作りをスムーズに進めるために、準備しておきたい基本アイテムと便利グッズをご紹介します。

基本の調理器具と食器

離乳食作りでは、赤ちゃんの月齢に合わせて食材の固さや形を調整する必要があるため、いくつかの専用アイテムがあると便利です。

調理器具

  • すり鉢とすりこぎ:少量の食材をきめ細かくなめらかにする際に活躍
  • 裏ごし器:繊維の多い野菜をよりなめらかに仕上げる
  • 小さな鍋:赤ちゃん用の少量調理に最適
  • ハンドブレンダー:まとめて作る時の時短に。鍋に直接入れて使えて洗い物も少ない
  • 製氷皿・小分け容器:作り置きを小分け冷凍するのに必須

食器類

  • 赤ちゃん用スプーン:シリコン製やプラスチック製で口のサイズに合ったもの
  • 食器:割れにくく、滑り止め付きのプラスチック製やシリコン製
  • 仕切り付きプレート:複数の食材を盛り付けるのに便利
  • 食事用エプロン(スタイ):ビニール製、シリコン製、布製など。ポケット付きがおすすめ

あると便利なアイテム

基本的な調理器具や食器以外にも、離乳食作りや食事の時間をさらに快適にするアイテムがあります。

生活を楽にする便利グッズ

  • ベビーチェア(ハイチェア):正しい姿勢で食事に集中でき、誤嚥のリスクも減らせます
  • 麺カッター・フードカッター:外出先での取り分けに便利。コンパクトで持ち運びやすい
  • 電子レンジ用おかゆクッカー:ご飯と水を入れてレンジで簡単におかゆが作れる
  • 冷凍保存用小分け容器:電子レンジ対応のものが便利

手作りと市販品の使い分け

手作りの離乳食には、使用する食材を自分で選べる安心感やコストを抑えられるメリットがあります。一方、市販のベビーフードは調理の手間が省け、衛生的で栄養バランスも考慮されています。外出時にも便利です。

時間がある時は手作りに挑戦し、忙しい日や外出時には市販品を活用するなど、柔軟な姿勢で進めていくことをおすすめします。両方の良い面を取り入れることで、保護者の方の負担を軽減しながら、赤ちゃんに楽しく食事をさせることができるでしょう。

 離乳食の開始時期に関するQ&A

離乳食を進める中で、よく寄せられる質問にお答えします。

Q. 始めるのが早すぎたり遅すぎたりするとどうなりますか?

早すぎる場合は、消化器官がまだ未発達なため消化不良を起こしやすく、食物アレルギーのリスクが高まる可能性があります。また、スプーンから食べ物を取り込む練習も十分にできていないため、うまく飲み込めずむせてしまうこともあります。

遅すぎる場合は、生後6か月を過ぎると母乳やミルクだけでは鉄分などの栄養素が不足しがちになります。また、咀嚼機能の発達が遅れたり、固形物への抵抗感が強くなったりする可能性もあります。

やはり「生後5〜6か月頃」を目安に、赤ちゃんの準備サインをしっかり見ながら始めるのが最も良いタイミングといえます。

Q. 作り置きや冷凍保存は可能ですか?

はい、可能です。むしろ便利な方法としておすすめします。製氷皿や小分けトレーに入れて冷凍しておけば、必要な時に必要な分だけ取り出して解凍できます。冷凍保存は約1週間を目安に使い切るようにしましょう。

ただし、衛生管理を徹底し、調理後は速やかに冷まして冷凍し、解凍時は中心部まで十分に再加熱することが大切です。一度解凍したものの再冷凍は避け、食べ残しは廃棄しましょう。

Q. 離乳食の進みが遅いのですが大丈夫でしょうか?

離乳食の進み具合には個人差があります。ゆっくりペースでも、赤ちゃんが少しずつでも食べられるようになっていれば問題ありません。焦らず赤ちゃんのペースに合わせて進めることが大切です。

ただし、体重の増加が少ない、元気がない、などの様子が見られる場合は、小児科や乳幼児健診でご相談ください。

参考文献
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04250.html

まとめ:赤ちゃんのペースを大切に、楽しく離乳食を進めましょう

離乳食は、赤ちゃんの成長にとって大切なステップですが、マニュアル通りに進めることだけがすべてではありません。最も重要なのは、赤ちゃん一人ひとりの個性やペースに合わせ、無理なく進めていくことです。

離乳食の進み具合には個人差があります。ある時期にたくさん食べる赤ちゃんもいれば、特定の食材をなかなか受け入れない赤ちゃんもいるでしょう。そんな時は焦らず、赤ちゃんのサインをよく観察してあげてください。

離乳食は、単に栄養を補給するだけでなく、赤ちゃんが「食べる楽しさ」を知り、豊かな食生活の土台を築くための大切な時間です。保護者の方が「食べさせなければ」と気負いすぎず、「まあ、いっか」くらいの気持ちで、お子さまとの食事の時間を楽しんでくださいね。

時には思い通りに進まず、悩んだり不安になったりすることもあるかもしれません。そんな時は、いつでも小児科や乳幼児健診でご相談ください。私たちがサポートさせていただきます。

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